パンフレット、製品マニュアル、雑誌などを多言語化する際、翻訳チームはしばしば難しい課題に直面します。翻訳者はInDesignを扱えず、DTPデザイナーは外国語を理解できない。
デザイナーがINDD内のテキストを手作業でWordやExcelにコピーして翻訳者へ渡し、翻訳後に一文ずつ貼り戻す方法では、多大な作業時間がかかります。また、書式の消失や貼り漏れ・貼り間違いといった重大なミスも起こりやすくなります。一方、翻訳会社が従来のCATツール(Trados、memoQなど)でIDMLを解析する場合も、差し戻し時に複雑な右から左(RTL)組版の位置ずれや文字あふれ(オーバーセット)の問題が発生することがあります。
この記事では、SimplifyAIの自動化ワークフローを使い、InDesign(INDD)から対訳Excelを出力し、翻訳完了後にレイアウトファイルへ戻す方法を紹介します。コピー&ペーストによる書式崩れのリスクを抑えるための手順です。
従来の手作業によるコピー&ペーストの課題
海外展開を始めたばかりの企業や小規模な翻訳会社では、現在も手作業でInDesignファイルを処理しているケースがあります。
- 非常に時間がかかる:50ページの商品カタログでは、テキストのコピー・抽出だけで数時間を要することがあります。
- 書式が失われやすい:段落内の一部の語句が太字または赤色であっても、Excelへコピー&ペーストするとリッチテキストの情報が失われます。InDesignへ戻す際、デザイナーが目視でスタイルを設定し直す必要があります。
- 翻訳漏れが起こりやすい:マスターページ、複雑な表、グラフ内に埋め込まれた文字などは、抽出対象から漏れやすい箇所です。
解決の考え方:構造化抽出で「書式タグ」を保持する
SimplifyAIは、単純なOCRや段落単位のコピーではなく、クラウド上でレイアウトファイル内のテキストを読み取り、特殊なスタイルに保護タグを付与する方法を採用しています。
ステップ1:元ファイルをアップロードし、テキストを自動抽出
パソコンにInDesignをインストールする必要はありません。.indd または .idml ファイルをSimplifyAIのワークスペースへ直接アップロードします。システムが文書構造を分析し、本文、見出し、フッターなどの翻訳対象テキストをできる限り抽出します。
ステップ2:構造化された対訳Excel(またはXLIFF)を出力
解析が完了したら、AI翻訳を直接実行するか、対訳Excelをダウンロードできます。 ダウンロードしたExcelには原文列と空欄の訳文列が含まれます。原文内の特殊なスタイル(たとえば太字の単語)には、見えない保護マークが自動で付与され、該当する語句とともに原文列へ出力されます。
ステップ3:翻訳者へ渡し、Excel上で訳文を入力
翻訳者や翻訳会社は、受け取ったExcelを通常どおり翻訳できます。保護マークが付いた語句は、対応する訳語をマーク全体で囲むだけです。たとえば、Red Buttonのマークをそのまま「赤いボタン」に付けます。
これにより、翻訳者はフォント、文字サイズ、色を意識する必要がなく、マークが訳文内で対になっていることだけを確認すれば済みます。
ステップ4:訳文をインポートし、プレビュー用ファイルを生成
翻訳者から納品されたら、訳文を入力済みのExcelをSimplifyAIの該当プロジェクトへインポートします。
システムは訳文を元のInDesignテキストフレームへ書き戻し、保護タグに基づいて太字や赤色のスタイルを復元します。同時にプレビュー用のPDFを出力し、ダウンロード用の新しい .indd または .idml ソースファイルも提供します。
さらに活用:自動レイアウト調整(文字あふれ対策)
言語間の文字量の違いにより(たとえば英語をドイツ語やロシア語へ翻訳すると、通常は30%以上長くなります)、InDesignへ戻した際に文字あふれ(Text Overset、いわゆるオーバーセット)が発生することがあります。
SimplifyAIはファイル再構築時に自動レイアウト調整を行います。テキストが元のテキストフレームに収まらない場合、字間、行間、文字サイズを微調整し、文字あふれをできる限り減らします。これにより、印刷前のデザイナーによる修正作業を抑えられます。
まとめ
社内のマーケティングチームでも、専門的なローカリゼーションサービスプロバイダー(LSP)でも、「クラウド解析 + 対訳Excelでの共同作業 + 自動書き戻し」というワークフローを活用することで、コピー&ペーストや手作業での反映にかかる時間とミスのリスクを減らせます。
SimplifyAIのワークスペースで最初のInDesignファイルをアップロードし、コピー&ペーストに頼らない自動化されたDTP翻訳を試してみてください。